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Tripathi, V.*; Bhattacharya, S.*; Rubino, E.*; Benetti, C.*; Perello, J. F.*; Tabor, S. L.*; Liddick, S. N.*; Bender, P. C.*; Carpenter, M. P.*; Carroll, J. J.*; et al.
Physical Review C, 106(6), p.064314_1 - 064314_14, 2022/12
被引用回数:2 パーセンタイル:52.69(Physics, Nuclear)ミシガン州立大学の国立超伝導サイクロトロン研究所にて、中性子過剰なリン、硫黄同位体を生成し、そこからのベータ崩壊半減期および娘核の励起準位を測定した。Pの崩壊によって得られるエネルギー準位から、この原子核の基底状態はあるいはであることが示唆された。中性子数が偶数の硫黄同位体からの崩壊様式を系統的に調べた結果、中性子数が増えるにつれてガモフテラー遷移強度の大きな準位の励起エネルギーが高くなることがわかった。これは、大規模殻模型計算によって予言されている現象に一致する。
清水 則孝*; 角田 佑介*; 宇都野 穣; 大塚 孝治*
Physical Review C, 103(1), p.014312_1 - 014312_11, 2021/01
被引用回数:17 パーセンタイル:93.85(Physics, Nuclear)配位混合殻模型は、核子間相関をよく取り込むことができるため、原子核構造を記述する有力な模型の一つである。核子数の多い原子核を殻模型で計算するには、極めて大きな次元数をもつハミルトニアン行列の対角化が必要なため、現実的には不可能である。このような系に対しては、変形したスレーター行列式の重ね合わせによる変分法に基づいた、モンテカルロ殻模型と呼ばれる手法が用いられてきたが、質量数が大きな原子核では精度に課題があった。この論文では、基底をスレーター行列式から準粒子真空に置き換える、新しい手法を提案した。それにより、中重核の二重ベータ行列要素に対し、より信頼できる値を得ることが可能となった。
Andel, B.*; Andreyev, A. N.; Antalic, S.*; Al Monthery, M.*; Barzakh, A.*; Bissell, M. L.*; Chrysalidis, K.*; 他29名*
Physical Review C, 102(1), p.014319_1 - 014319_12, 2020/07
被引用回数:6 パーセンタイル:59.56(Physics, Nuclear)-delayed fission (DF) decay of a low-spin (ls) and a high-spin (hs) isomer in Bi was studied at the ISOLDE facility at CERN. Their DF partial half-lives were determined: , DF(Bi)= 5.6(8) 10 s and , DF(Bi)=1.7(6) 10 s. This work is the first DF study of two states in one isotope and allows the spin dependence of low-energy fission to be explored. The fission fragment mass distribution of a daughter nuclide Pb, following the decay of the high-spin isomer, was deduced and indicates a mixture of symmetric and asymmetric fission modes.
藤田 佳孝*; 宇都野 穣; 藤田 浩彦*
European Physical Journal A, 56(5), p.138_1 - 138_8, 2020/05
被引用回数:5 パーセンタイル:52.72(Physics, Nuclear)Cは半減期が約5700年と極めて長いことが知られており、その性質は年代測定に利用されている。CからNへのベータ崩壊は、スピンパリティ差がの許容遷移であるにも関わらず、値が9を超え、遷移が極めて抑制されている。その核構造的起源を解き明かすため、Cを殻の2空孔状態とした殻模型に基づいた議論を行った。非常に興味深いことに、2粒子状態の基底状態へのベータ崩壊行列要素は非常に大きく、2空孔状態の行列要素はゼロに近くなる。2粒子状態については、1番目のへ強く遷移(LeSGTと呼ぶ)し、2番目のへは弱く遷移(anti-LeSGTと呼ぶ)するが、2空孔状態についてはその逆で、1番目のへは弱く、2番目のへは強いという逆転関係があることがわかった。この粒子・空孔状態間の非対称性は、二体力の行列要素の符号によって理解されることがわかった。
Abromeit, B.*; Tripathi, V.*; Crawford, H. L.*; Liddick, S. N.*; 吉田 聡太*; 宇都野 穣; Bender, P. C.*; Crider, B. P.*; Dungan, R.*; Fallon, P.*; et al.
Physical Review C, 100(1), p.014323_1 - 014323_14, 2019/07
被引用回数:2 パーセンタイル:23.19(Physics, Nuclear)中性子過剰核Al, Siとその娘核からのベータ崩壊をミシガン州立大学の国立超伝導サイクロトロン研究所において調べた。ベータ崩壊で得られた準位構造を大規模殻模型計算と比較し、実験と理論の良い一致が得られることがわかった。さらに、脱励起ガンマ線の強度から、それぞれの準位にベータ遷移する強度を表す値を引き出した。これら奇核のベータ崩壊で得られた低励起状態への値は偶偶核からのものよりも強くフラグメントしていることがわかった。これは、大規模殻模型計算で予言されたガモフテラー遷移強度の分布に対する一般的傾向に合致した結果である。
Kirsebom, O. S.*; Tengblad, O.*; Andreyev, A. N.; 他41名*
Physical Review Letters, 121(14), p.142701_1 - 142701_6, 2018/10
被引用回数:7 パーセンタイル:50.74(Physics, Multidisciplinary)The C(,)O reaction plays a central role in astrophysics, but its cross section at energies relevant for astrophysical applications is only poorly constrained by laboratory data. The reduced width, , of the bound 1 level in O is particularly important to determine the cross section. The magnitude of is determined via sub-Coulomb -transfer reactions or the -delayed decay of N, but the latter approach is presently hampered by the lack of sufficiently precise data on the -decay branching ratios. Here we report improved branching ratios for the bound 1 level () and for -delayed emission (). Our value for is 33 larger than previously held, leading to a substantial increase in . Our revised value for is in good agreement with the value obtained in -transfer studies and the weighted average of the two gives a robust and precise determination of , which provides significantly improved constraints on the C(,)O cross section in the energy range relevant to hydro static He burning.
吉田 聡太*; 宇都野 穣; 清水 則孝*; 大塚 孝治*
Physical Review C, 97(5), p.054321_1 - 054321_17, 2018/05
被引用回数:34 パーセンタイル:93.04(Physics, Nuclear)陽子数が13から18まで、中性子数が22から34までの78核種のベータ崩壊半減期及び遅発中性子放出確率を大規模殻模型計算によって求めた。これらは非常に中性子過剰な原子核であるため、実験データが限られており、また、速い元素合成過程の理解に重要な性質である。そのうち実験データがある47核種の半減期を非常によく再現することを示した。これらのベータ崩壊の性質については、核構造の観点からはガモフテラー遷移強度分布が重要となる。ガモフテラー遷移強度分布を詳しく調べた結果、半減期に対して特に重要な低励起状態への強度分布に核子数の偶奇性が強く現れることがわかった。陽子中性子対相関がその性質を支配していることを計算により示した。
Tripathi, V.*; Lubna, R. S.*; Abromeit, B.*; Crawford, H. L.*; Liddick, S. N.*; 宇都野 穣; Bender, P. C.*; Crider, B. P.*; Dungan, R.*; Fallon, P.*; et al.
Physical Review C, 95(2), p.024308_1 - 024308_7, 2017/02
被引用回数:7 パーセンタイル:51.81(Physics, Nuclear)ミシガン州立大の超伝導サイクロトロン施設にて中性子過剰核SiからPへのベータ崩壊を測定した。親核の基底状態からガモフテラー遷移で強く遷移するPの状態を下から3本観測することができた。これらの状態はコア励起を伴う異常パリティ状態であるにも関わらず、励起エネルギーが1-2MeV領域と低く出現することがわかった。これらの状態の励起エネルギーおよび値は殻模型計算によってよく再現できた。状態よりも状態でガモフテラー遷移強度が大きくなるという実験結果を、これらの原子核の殻構造の観点から理解できることを示した。
Truesdale, V. L.*; Andreyev, A. N.; Ghys, L.*; Huyse, M.*; Van Duppen, P.*; Sels, S.*; Andel, B.*; Antalic, S.*; Barzakh, A.*; Capponi, L.*; et al.
Physical Review C, 94(3), p.034308_1 - 034308_11, 2016/09
被引用回数:10 パーセンタイル:60.43(Physics, Nuclear)A nuclear-decay spectroscopy study of the neutron-deficient isotope At is reported where an isotopically pure beam was produced using the selective Resonance Ionization Laser Ion Source and On-Line Isotope Mass Separator (CERN). The fine-structure decay of At allowed the low-energy excited states in the daughter nucleus Bi to be investigated. A -delayed fission study of At was also performed. A mixture of symmetric and asymmetric fission-fragment mass distributions of the daughter isotope Po (populated by decay of At) was deduced based on the measured fission-fragment energies. A DF probability (At) = 9(1)10 was determined.
岩田 順敬*; 清水 則孝*; 大塚 孝治*; 宇都野 穣; Menndez, J.*; 本間 道雄*; 阿部 喬*
Physical Review Letters, 116(11), p.112502_1 - 112502_6, 2016/03
被引用回数:81 パーセンタイル:94.57(Physics, Multidisciplinary)ニュートリノレス二重ベータ崩壊は、ニュートリノがマヨラナ粒子であることを示す決定的な証拠となるが、未だその観測に成功していない。その核行列要素を理論的に正確に与えられれば、実験に大きな制約を与えることになるが、核構造模型による不定性が大きいというのが現状である。この研究では、最も正確な核行列要素を与えると期待される大規模殻模型計算によって、Caのニュートリノレス二重ベータ崩壊の核行列要素を調べた。殻から殻へ励起する配位を取り入れた大規模計算によって、従来の殻計算に比べ、約30の核行列要素の増大を得た。核構造の観点からは、この増大は、対相関と核行列要素が密接に関係していることによってもたらされたものである。
Steiger, K.*; 西村 俊二*; Li, Z.*; Gernhuser, R.*; 宇都野 穣; Chen, R.*; Faestermann, T.*; Hinke, C.*; Krcken, R.*; 西村 美月*; et al.
European Physical Journal A, 51(9), p.117_1 - 117_9, 2015/09
被引用回数:10 パーセンタイル:58.15(Physics, Nuclear)中性子数20領域の中性子過剰核では、魔法数20が消滅することが知られ、殻構造の変化が起きていると考えられている。この論文では、この領域の殻構造をより直接的に調べるため、Si核の準位構造をAl核のベータ崩壊によって調べた結果を報告する。Alを理化学研究所RIBFを用いて生成し、そこからのベータ崩壊後の線を観測することによって、Si核の低励起状態の準位構造を得た。Siの717keVと1270keVに強く遷移することから、これらの準位は正パリティ状態と同定された。実験で得られた準位構造は殻模型計算によってよく再現され、717keVと1270keVはそれぞれ, に対応することがわかった。この結果は、最近の殻模型相互作用が与える殻構造変化を確かめるものである。
Tripathi, V.*; Tabor, S. L.*; Mantica, P. F.*; Hoffman, C. R.*; Wiedeking, M.*; Davies, A. D.*; Liddick, S. N.*; Mueller, W. F.*; 大塚 孝治*; Stolz, A.*; et al.
Physical Review Letters, 94(16), p.162501_1 - 162501_4, 2005/04
被引用回数:68 パーセンタイル:88.36(Physics, Multidisciplinary)中性子数20の魔法数が中性子過剰核で消滅することは知られているが、このことが起きる要因の一つとして、中性子過剰核においては殻ギャップエネルギーそのものが安定核のものよりもかなり狭まるということを、われわれはモンテカルロ殻模型計算に基づいて提唱してきた。これが実際に正しいとすると、中性子数が20よりも少ない原子核の励起エネルギーにその痕跡が見られることが予言されるが、この論文でなされた、Ne核によるベータ崩壊から得られたNaの準位の測定で、予言されたものに対応する準位が初めて測定された。中性子18を持つNaではこれまで励起状態が全く知られていなかったが、この実験によって1.5MeV近傍に2本、log(ft)値から明らかに正パリティでかつ、中性子数20の魔法構造を破った状態があることがわかった。同時にNaの励起状態も測定し、この核の低励起状態にはそのような状態がないこともわかった。これらの実験結果はモンテカルロ殻模型による予言によく対応しており、魔法数の変化のメカニズムに対してさらに深い理解を与えたものである。
大平 茂; 中村 博文; 奥野 健二; Taylor, D. J.*; Sherman, R. H.*
Fusion Technology, 28(3), p.1239 - 1243, 1995/10
核融合炉施設においてトリチウムのベータ崩壊によって引き起こされる、プロセス中あるいは環境中のガスとの自己触媒的反応に関するデータは、安全評価のうえで重要となるが、ほとんど得られていない。日本原子力研究所のTPL及び米国ロスアラモス研究所のTSTAでは、プロセスガスのその場分析に応用しているレーザーラマン分光法を用いてトリチウムの自己触媒的反応の研究を進めている。本報告では反応性の高い一酸化炭素との反応に関して述べた。COとTを1:1に混合すると石英性ラマンセル内に約1時間半後に細粒状の固体反応生成物が出現した。この生成物のラマンスペクトルからは反応生成物を固定できなかったが、残留ガス分析の結果この生成物の原素組成はC:T:O=1.4:3.0:1.0となっていることが判明した。
宇都野 穣; 清水 則孝*; 富樫 智章*; 大塚 孝治*; 鈴木 俊夫*; 本間 道雄*
no journal, ,
中性子過剰カルシウム同位体では、最近中性子数34の新魔法数が発見されるなど、その殻構造に大きな注目が集まっている。その励起準位は、フェルミ面付近の殻構造を強く反映したものであり、殻構造の変化(殻進化)に対して多くの情報を担っている。しかしながら、これらの励起準位の構造に関しては、準位の存在はわかっているものの、スピンパリティのような基本的性質すら明らかになっていない。本研究では、カリウム同位体からの第一禁止遷移確率を実験と殻模型計算とで比べることによって、これらの励起準位の構造に対してより進んだ理解を与えたことを報告する。例えば、Caでは、フェルミ面が軌道にあるが、その下の軌道からの中性子励起をした状態を明らかにし、Caでは、2つ見つかっている励起状態のうちのどちらが中性子数34の魔法数をまたいだ励起に対応するかを明らかにした。
宇都野 穣; 清水 則孝*; 大塚 孝治*; 本間 道雄*; 吉田 聡太*; 江幡 修一郎*
no journal, ,
近年、核構造研究の対象が安定核の低励起状態から、不安定核を含む高い励起状態へと大きく広がっている。殻模型計算は、主に低励起状態の記述に使われてきたが、十分大きな模型空間を採用することによって比較的高い励起状態の記述も可能である。この講演では、質量数が40-50程度の-殻領域の不安定核に対する、およびガモフテラー強度関数の殻模型計算を行った結果を発表する。いずれの計算も、基底状態とパリティの異なる状態が対象となるため、2主殻以上を取り入れた大規模殻模型計算が必要である。励起の強度関数については、安定カルシウム同位体の実験データをよく再現するとともに、中性子数が28を超える核におけるピグミー双極子励起の存在を予言した。また、ガモフテラー励起の強度関数を計算することによって、この領域の半減期を系統的かつ精度よく再現することに成功した。
宇都野 穣; 吉田 聡太*; 清水 則孝*; 大塚 孝治*; 富樫 智章*; 本間 道雄*; 鈴木 俊夫*
no journal, ,
ベータ崩壊による中性子過剰核の半減期および遅発中性子放出確率は原子力と天体核物理において最も基本的となる核データであるが、実験的な情報は限られているため、信頼性の高い理論計算が求められている。殻模型計算は核子間の主要な相関を完全な形で取り入れているため、その要求に対する最適な理論手法といえる。この講演では、陽子数が13から19まで、中性子数が22から34までの中性子過剰核の半減期および遅発中性子放出確率を殻模型計算によって系統的に計算した結果を報告する。原子力機構の大型計算機を使ってこれらの値を系統的に計算して実験値と比較したところ、半減期については2倍以内、遅発中性子放出確率については測定誤差が大きいため正確な比較は困難であるが、実験値の傾向をよく再現することに成功した。ガモフテラー遷移の系統性を調べたところ、偶偶核から奇奇核への遷移には低励起状態にピグミー遷移とも呼べる特徴的な遷移が存在し、それが測定量に大きな影響を与えていることがわかった。ガモフテラー遷移のほかに、第一禁止遷移も計算し、カルシウム同位体の構造に対するより深い知見を与えた。
須田 翔哉*; 石橋 健二*; Lee, E.*; 執行 信寛*; 池田 伸夫*; Sun, G. M.*; Han, B.-Y.*; 高田 弘; 原田 正英
no journal, ,
中性子源セクションでは、電気化学式検出装置を用いて新型転換炉(ATR、重水減速軽水炉ふげん)で信号生成を観測した経験を有する。本研究では、同検出装置のトリチウムへの有感性を確認することを目的として、(1)加圧水型軽水炉(PWR、トリチウム量30gと多量のベータ崩壊核種)の傍(炉心から26m)と、(2)原子力機構のトリチウムプロセス実験棟(トリチウム10g級)の傍(線源から8.6m)で実験を行った。両方の実験で、電気化学式検出装置にバックグランド値に比べて有意の信号増加を観測した。解析の結果、原子炉実験については、低エネルギーベータ崩壊核種であるトリチウムとプルトニウム241が信号増加の源となっており、トリチウムプロセス実験棟の実験についてはトリチウムによって信号が増加していることが明らかになった。
宇都野 穣; 吉田 聡太*; 清水 則孝*; 大塚 孝治*
no journal, ,
中性子過剰核におけるベータ崩壊の性質(半減期と遅発中性子放出確率)は核構造データとして最も基本的なものの一つであるが、従来からよく用いられる乱雑位相近似などの大域的な微視的核構造計算では実験値を満足いく程度まで再現するに至っていない。本講演では、従来の計算よりも核子間相関を適切に取り扱うことの可能な殻模型計算によって、軽い核領域のベータ崩壊の性質を調べた結果を報告する。殻模型計算によって半減期と遅発中性子放出確率を計算した結果、実験値を従来の方法に比べ非常によく再現することに成功した。その結果をもとに、実験的には得ることが難しい、中性子過剰核からのガモフテラー遷移分布とその物理的意味を議論することが可能となった。低励起状態へのガモフテラー遷移については、偶偶核からの遷移がその他の核のものに比べ、著しく増大することを見つけた。この性質は陽子中性子対相関によるものとわかった。さらに、ガモフテラー巨大共鳴のピーク位置の系統性も調べ、そのアイソスピン依存性を与えた。
宇都野 穣; 清水 則孝*; 吉田 聡太*; 大塚 孝治*
no journal, ,
連星中性子星合体による速い元素合成(rプロセス)がGW170817によって観測され、rプロセスの定量的理解は天体物理、原子核物理にわたる非常に重要な課題となっている。原子核物理においては、非常に中性子過剰な原子核のベータ崩壊, 光核反応, 中性子捕獲反応をよい精度で得る必要がある。これらのデータを実験だけで揃えるのは困難であるため、理論計算によるインプットが不可欠である。この講演では、こうしたrプロセスの記述に必要な核データが大規模殻模型計算によって精度よく与えることができるようになってきた現状について紹介する。特に、最近発表者によって行われた、軽い核領域における系統的ベータ崩壊の計算結果を示す。核子間相関を適切に取り扱った計算により、半減期のみならず、遅発中性子放出確率も良く再現できるようになった。光核反応断面積については、カルシウム同位体における系統的計算結果を示し、中性子過剰核におけるピグミー共鳴の発現やBrinkの仮説の検証結果を紹介する。
宇都野 穣
no journal, ,
中性子過剰核のベータ崩壊の半減期や遅発中性子放出確率の値は、原子力や元素合成などの応用面においても非常に重要なデータであるが、全ての原子核のデータをよく記述する理論計算はまだ存在しない。この研究では、核構造を定量的によく記述できることで知られる殻模型計算によって質量数40領域の中性子過剰核78核種のベータ崩壊の性質を調べた。この計算で得られた半減期および遅発中性子放出確率は、従来の理論計算よりもよく実験値を再現した。計算で得られたガモフテラー遷移強度分布の系統性を調べ、低励起状態への強度分布に強い偶奇効果(核子数が偶数か奇数かで性質が著しく異なること)があることがわかった。
宇都野 穣; 吉田 聡太*; 清水 則孝*; 大塚 孝治*
no journal, ,
この研究会は大規模数値計算による素粒子, 原子核, 宇宙物理の最近の進展を議論するものである。大規模殻模型計算によって、r元素合成過程の記述に重要な役割を果たすベータ崩壊半減期および遅発中性子放出確率を得て、それらを実験データと比較した。現在のところ軽い核にしか適用できないものの、従来の計算に比べ、著しく精度の高い結果が得られた。その計算の概要と得られた結果の物理的意義を議論する。